AIのスキルを作る前と後で、何が変わったか。

砥石

記事を1本書くのに、3時間かかっていた。

子どもが寝た後の静寂の中で、私はスマホとにらめっこしながら、何度もClaudeに同じようなプロンプトを打ち直していた。「もっと自分らしい文体で」「ですます調で」「箇条書きにしないで」。毎回、同じことを伝えるたびに、自分の中で何かが少しずつ消耗していく感覚があった。

今は、同じ記事が10分で形になる。

数字にするとそう見える。でも実際は、時間が縮んだというより、何かが変わった感覚の方が強い。それが何なのかを、うまく言葉にできなくて、しばらく放置していた。

この記事は、その「何か」を言語化する試みです。

スキルという機能を、最初は誤解していた

Claudeにスキルという機能があることは、わりと早い段階で知っていた。

設定画面を開けば使える。登録しておけば、次から自動で呼び出してくれる。そういう説明を読んで、「便利そうだな」と思いながら、しばらく放置していた。

理由はシンプルで、「何を登録すればいいかわからなかった」から。

使い方はわかる。でも何を覚えさせればいいのかわからなかった。だから、スキルは「知ってるけど使っていない機能」のまま放ったらかしていた。

物販で300万円を溶かして、副業の軸をコンテンツに切り替えて、毎日の通勤電車と子どもが寝た後の2時間だけが作業時間だった私には、迷っている余裕はなかった。それでも、しばらくはそのまま、毎回同じプロンプトを手打ちし続けていた。

「何を覚えさせるか」に気づくまで

転換点は、ある夜の失敗だった。

記事の構成案を作ってもらおうとして、いつものようにAIに依頼した。出てきたものは、悪くなかった。でも、どこか違った。何度やっても自分の文体じゃない。自分が書きたいトーンじゃない。修正を加えていくうちに、「これ、最初から自分で書いた方が早かったんじゃないか」という気持ちになった。

そのとき、ふと思った。

毎回同じことを補足している、ということは、毎回同じことを忘れられているということだ。

AIは会話が終わると、前の文脈を持ち越さない。私のことを知らない状態から、毎回始まる。だから毎回、同じ説明を繰り返さなければいけない。これは、構造的な問題だった。

スキルの本質は、「覚えさせる」ことじゃない。「毎回説明しなくていい状態を作る」こと。そう気づいたとき、何を登録すべきかが一気に見えた。

私が最初に作ったスキル

最初に作ったのは、note記事を書くためのスキルだった。

ブランドの文体。カテゴリの定義。タイトルの型。避けるべき表現。記事の構成の骨格。セールスレターの順番。これを一度、丁寧に言語化してスキルに登録した。

作るのに1時間かかった。途中で何度も「これ、本当に必要か」と思いながら、それでも手を止めずに書き続けた。自分がどういう文体で書きたいのか。何を伝えたくて、何は伝えたくないのか。そういうことを、改めて問われている感覚があった。

次の記事からは、「砥石カテゴリで、物販失敗の話を絡めて書いて」と言うだけで、自分の文体に近いものが出てくるようになった。

3時間が10分になったのは、その次の日からだった。

変わったのは時間だけじゃなかった

正直に言う。

時間が縮んだことより、「迷いが減った」という変化の方が、実感として大きい。

以前は、記事を書き始めるたびに「この文体でいいか」「この構成でいいか」「このトーンでいいか」を、毎回ゼロから判断していた。それが地味に消耗していた。

スキルが「型」を持っているから、私はその型の中で「何を書くか」だけを考えればいい。

思考の向ける先が変わった、という感覚に近い。

ツールの使い方を考える時間が消えて、コンテンツの中身だけを考えられる状態になった。それはたぶん、「副業」と呼んでいいものを、本当の意味で始めた瞬間だったと思う。

仕組みを持つ前と後で、何が違うか

仕組みを持つ前の私は、毎回の作業が「また1からやり直し」だった。

今は、昨日の自分の上に今日の自分が積み上がっていく感覚がある。スキルを作ったことで生産性が上がった、というより、スキルを作ろうとしたことで、自分の仕事の輪郭が見えた。「自分はどういう文体で書きたいのか」「何を伝えたくて、何は伝えたくないのか」、そういうことを、初めてちゃんと言語化できた気がした。

その差が半年後にどう現れるかは、まだわからない。

スキルを使い始めてから、記事を書く時間は変わった。でも、「それで売上が上がったか」という問いには、まだ答えられない。信頼構築フェーズにいる今の私には、売上という指標が機能し始めるのはもう少し先の話だからだ。

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